§5. ダイオキシンとごみのリサイクル

PartT. ダイオキシン類
学問的には
  ポリクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン (PCDD)
  ポリクロロジベンゾフラン   (PCDF)
  コプラナーPCB (Co-PCB)

法規制では
    PCDD+PCDF=ダイオキシン類
 「ダイオキシン」 ← PCDD

ベトナム戦争 (1962〜1971年)
 米軍はダイオキシンを不純物として含む枯葉剤を大量に散布
 (2.3.7.8-テトラクロロジベンゾ−パラ−ジオキシン =TCDD 166sに相当、
 1400億匹のモルモットを死亡させる量)

1968年 ★カネミ油症
 PCBで汚染された米ヌカ油 ⇒約1800人が摂取
 油症患者の母から生まれた子供に知能障害、成長抑制
 (←コプラナーPCB、ポリクロロジベンゾフラン)

1976年 イタリア★セベソ
 化学薬品工場の爆発事故
 TCDD 34s相当が放出、約3万7000人が曝露
      ⇒消化器系、リンパ血管系のガンが相対的に増える

1977年 アムステルダム大学の研究者はダイオキシン類が
      公営廃棄物焼却施設から排出されていることを初めて発見。

1978年 米国ニューヨーク州
      ナイアガラ瀑布近くのラブ・カナル
      廃棄物埋立跡地に高濃度のダイオキシン ⇒約1000家族が避難


ガンの原因要素に対する認識 (市民の感覚vs.疫学専門家の見解)

               市民の感覚  ガン疫学専門家
 食品添加物          43.5%        1%
 農 薬              24%         0%
 タ バ コ            11.5%        30%
 大気汚染公害         9%          2%
 タンパク質焦げ         4%         0%
 ウ イ ル ス           1%         10%
 普通の食品           0%         35%


既知発生源からのダイオキシン類の推定排出量(1997年)

        生源     発生量(gTEQ/年)
    都市ゴミ焼却       4300
    産業廃棄物焼却      547〜707
    金属精錬          250
    タバコの煙          16
    パルプ黒液ボイラー     3
    パルプ漂白          0.78
    木材・廃材の焼却      0.2
    自動車排ガス         0.07

主要国のダイオキシン排出量 (単位はグラム)
    日本(98年)     2,900-2,940
    米国(95年)     1,026-7,541
    ドイツ(94年)          334
    オランダ(91年)         484
    英国(94年)      560-1,064
    スウェーデン(93年)    22-88

Part U. ごみとリサイクル
1. 廃棄物とは何か
「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、 ふん尿、廃油、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染されたものを除く)」

廃棄物の種類
  産業廃棄物
  一般廃棄物  事業系一般廃棄物
         家庭系一般廃棄物(市町村対応)

産業廃棄物=「燃え殻、汚泥、廃油、 廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」
  それ以外の廃棄物 ⇒ 一般廃棄物

廃棄物の処理責任
  一般廃棄物⇒
処理責任=市町村による処理
  産業廃棄物⇒排出事業者の責任

- 産廃と事業系一廃の区分はなぜ残るのか?


2.リサイクル関連法

1991年 廃棄物処理法 改正
 法律の目的(一条)に
 「廃棄物の排出抑制」と「再生」(リサイクル)
 が付け加えられた。

1991年 再生資源利用促進法 制定
       (リサイクル促進法)

1995年 容器包装リサイクル法
(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)
←一般廃棄物の容積の6割、重量で2割強 飲料缶、ペットボトル、包装紙
・模範にしたドイツやフランスの仕組みに比べて、事業者の負担が非常に小さい

※釧路市 資源リサイクルセンター (釧路市鳥取7)
 手作業による分別徹底 (ビン類・ペットボトル)
 ペットボトルのキャップははずしましょう
 容器包装プラは釧路市内の業者さんへ
   主力はサーマルリサイクルでした
※釧路広域連合(ごみ焼却施設)

1998年 家電リサイクル法 (特定家庭用機器再商品化法)
家電4品目:TV、冷蔵庫、洗濯機、エアコン
・マテリアルリサイクルのみが対象
・販売価格にリサイクル費用を上乗せした方が、消費した後で消費者からの費用を徴収するよりも優れているはず←競争原理←家電4品は長期間使用されるため、
  製造業者としては将来のリサイクル費用を計算しにくい

リサイクル関連項目
[1] ゼロエミッション Zero Emission(廃棄物ゼロ)
〜資源循環型の社会を作り出すための構想

廃棄物を出さない経済システム(企業、家庭、地域)
 i. 原材料をできるだけ製品の中に組み入れる 
     Input ≒Output
 ii. 最少の原材料で、より効率の高い製品を作り出す
     ex. 日本の得意な製品の小型化(パソコン、カメラ)
 iii. 新しい産業クラスターの形成
(ある産業の排出する廃棄物が他の産業の原材料になる)
   ex.[産業連鎖] ビールの製造業と魚の養殖業
           紙パルプ産業とセメント産業

[2] ライフサイクル・アセスメント(LCA)

[3] ISO14000シリーズ
環境マネジメントと環境監査の国際規格
1996年から発効

環境マネジメントシステム(ISO14001) 
 [企業への要求事項]
環境に関する経営方針や目標の作成、目標達成のための組織の構造、責任、プロセスや達成期間などを一定のルールに基づき、明確にする規格。

※日本、韓国、中国では取得数が多い
  (企業、自治体、公共団体etc.)


補足: 環境ホルモン
環境ホルモンの定義
 「生体の恒常性、生殖、発生、あるいは行動に関与する種々の生体内ホルモンの合成、貯蔵、分泌、体内輸送、結合、作用あるいは排除などを阻害する性質を持つ生体外由来の物質。」


環境ホルモン由来の健康影響?
 1. 精子数、精子運動能の低下、
    精子奇形率の上昇
 2. 精巣がん、前立腺がんの増加
 3. 子宮内膜症、不妊症
 4. 子宮がん、卵巣がん、乳がん
 5. 外部生殖器の発育不全、停留睾丸
 6. アレルギー、自己免疫疾患
 7. 性同一性障害
 8. IQの低下
 9. パーキンソン病 






           
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