§5. 生物多様性とは

生物多様性=地球上の生命の総体
Biodiversity ← Biological Diversity


一般的には、3つのレベルの多様性
  生態系の多様性
     ↑
  種の多様性
     ↑
  遺伝子の多様性
           (下から上へ「支えている」)

  生態系の多様性
     ↓
  種の多様性
     ↓
  遺伝子の多様性
           (構成要素)

我々は地球上の生物多様性についていかに知らないか。
  @1983年 深海から分類学上 新しい門
  A 細菌: 土壌1グラム中に 4000種以上
  B 5km 地下で古細菌発見
  C 1981年 ヤンバルクイナ 現在1500〜2000羽
  Dベトナム 90年代に新種のレイヨウ(ソアラ)発見
 
生物多様性はどんな役に立ってくれるか
  ¶ 花 →香水
  ¶ 植物 →忌避剤
  ¶ アロエ
  ¶ 鯨油 →車のトランスミッションや宇宙開発
  ¶ センザンコウ
  ¶ 革
  ¶ 薬 ガンやエイズの特効薬?

野生動物: 魚からタンパク質を摂取する割合が高い上位40ヶ国中
        39ヶ国が途上国 唯一の先進国が日本(第13位)
植物: 人類はこれまでに約5000種の植物を食べてきた。
        農業作物は2300種(イネ科、マメ科、バラ科、ナス科etc.)
              ※主要な作物は20種弱
発展途上国の人々の80%が天然の動植物から採った薬を利用
¶米国でよく使われる薬150種類のうち、半分以上が動植物原料から
       ※2年ごとに主要な医薬品1種類が失われている..?

◇バイオミメティックス
 バイオミメティックスが材料として実用化された我が国最初の例は、
面ファスナー(マジックテープ;ベルクロVelcro)と言われる。
1940年代にスイスで、ゴボウの実が衣服や動物の体毛に張り付くことに
ヒントを得て開発された。表面がイガで覆われているところを模倣。

◇生物多様性の危機
   21世紀最初の30年間に陸地の7割で生物が危機に

¶ 生物多様性条約
 2002年の生物多様性条約締約国会議(COP6)において、
「生物多様性の損失スピードを2010年までに著しく減少させる」という
「2010年目標」が採択され、達成に向けた努力が世界各地で行われた。
 しかし、『地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)』により「2010年目標は達成されず、
生物多様性は引き続き減少している」と結論付けられた。
   ↓
◇愛知目標
「生物多様性戦略計画2011-2020(愛知目標)」
1. 長期目標:2050年までに、生物多様性が評価され、保全され、 
  回復され、そして賢明に利用され、それによって
  生態系サービスが保持され、健全な地球が維持され、
  すべての人々に不可欠な恩恵が与えられる
2. 短期目標 2020年
 - 生物多様性の損失を止めるために効果的かつ
  緊急な行動を実施する
3. 個別目標×20
 目標6: 水産資源が持続的に漁獲される
 目標9: 侵略的外来種が制御され、根絶される
 目標10:サンゴ礁など気候変動の影響を受けやすい
     脆弱な生態系への悪影響を最小にする
 目標11:陸域の17%、海域の10%が保護地域などに
      より、保全される
 目標12:絶滅危惧種の絶滅・減少が防止される
      cf. ABSに関する名古屋議定書(目標16)

 外務省 1991-2003
  1) 気候変動   159万ドル
  2) 生物多様性 164万ドル
地球環境ファシリティ (GEF)
   GEF-1 (94-98) 米 4.3億ドル/日 4.15億ドル
   GEF-2 (98-02) 米 4.3億ドル/日 4.13億ドル
   GEF-3 (02-06)  米 5.1億ドル/日 4.23億ドル
   GEF-4 (06-10)  米 3.2億ドル/日 3.1億ドル

自然保護の考え方(5つの基本的合意?)
 (1) 生物の多様性は「善」である
     人間は通常、生物の多様性を観察して楽しんでいる。
 (2) 人間活動による個体群と種の急激な絶滅は「悪」である
     人間活動の結果生じた絶滅の速度は、自然な絶滅速度の 1000倍。
 (3) 生態学的複雑さは「善」である
     共進化=複数の種が互いに関係しあいながら相互に変化していくこと
     競争、捕食―被食、宿主―寄生、
     共生(植物―花粉媒介者)
 (4) 生物の進化は「善」である
 (5) 生物の多様性は固有の価値を持つ
     人間にとっての利用価値のあるなしに関わりなく固有の存在価値を持つと考える。



             
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