§2. 生物「種」の絶滅とは

Part I. 人間によって絶滅させられた動物たち
1. ドードー
インド洋のモーリシャス島など3島にかつて生息
16世紀に白人が島に到来して以来1世紀とたたないうちに絶滅

  1755年 オックスフォードに残されていた剥製
      ⇒博物館の館長が燃やしてしまう

2. ステラーダイカイギュウ
1609年 北極まわりの中国航路を探していたハドソン一行 
     北極海で人魚に遭遇したと報告

    cf. ジュゴンとマナティー 暖かい地域に生息
      (ジュゴンは我が国の天然記念物)
      沖縄県名護市のキャンプシュワブ沖で生息が確認
      (普天間基地の返還に伴う海上へリポートの候補地)

1742年 ベーリング探検隊 カイギュウを食べる
     報告によれば体長は6〜10m

1755年 ロシア人地質学者がカイギュウの保護を訴えた

1768年 ロシア人の毛皮ハンターがカイギュウを捕殺して報告
     [最後の報告]

1855年 ベーリング海に浮かぶ島々を対象とした調査
     その中に奇妙な海性大型哺乳類の描写が

1963年 ソ連の捕鯨船がカムチャッカ北東の沖合で
    巨大な哺乳類の一団を目撃
     体長6m強で、海草を食べていた
  その動物はクジラでもアザラシでもなかった

3. オオウミガラス
北半球の『ペンギン』?(本家本元)
  cf. 天売島 ウミスズメ科ウミガラス属の「ウミガラス」
      別名オロロン鳥

ヨーロッパや北米に広く分布していたらしいが、多くの地域で滅ぼされていた。

約900年前の海賊ヴァイキングの航海
 →ヨーロッパ人によるオオウミガラスの再発見
ヴァイキング達も食料としたため、ヨーロッパ側では殆どいなくなってしまった

12〜13世紀以降 ヴァイキングの航海終息
 →カナダ北西部等で数百年安泰

15世紀後半 タラ漁の拡大とともに再び受難
 しかし何百万羽といたので、誰も絶滅を心配しなかった

     ●肉と卵、羽毛入り布団
     ●脂肪 → ランプやストーブの燃料
     ●乾燥させたオオウミガラスは
        たっぷり油分を含む → 松明
     ●鎖骨 → 優秀な釣り針

16世紀にはペンギンという名称に
  由来?   ・ケルト語の「白い頭」
                  ・ラテン語で「太っている」
                  ・pin-winged「翼を縛られた」

18世紀 世界中の博物館が「オオウミガラス求む」の通達
       アイスランドに50羽 →報奨金目当てで殺された

1844年 3人の漁師が上陸、2羽を殺す。1名は手ぶら

PartU. 種絶滅のスピード

1801〜1850年 既知の哺乳類は2種が絶滅
 北米のアメリカバイソンの1種
 西インド諸島 小型の齧歯類
1851〜1900年 31種の哺乳類と多くの鳥類絶滅
 リョコウバト、クァッガ等
1901〜1944年 40種の哺乳類
 バーバリライオン、ニホンオオカミ
 メキシコハイイログマ等

鳥類と哺乳類の絶滅
 1600〜1700年の100年間 
   10年間で1種のペース
 1850〜1950年の100年間 
   毎年1種

● 人類が現れる以前の絶滅
   eg. 恐竜
種の滅ぶスピード
     &
  種の貧弱化

PartV 絶滅しやすい生物種
 (1) 限定された地域に生息する種
 (2) 単一あるいは数個の個体群からなる種
 (3) 集団が小さい種
 (4) 個体群の大きさが縮小している種
 (5) 個体群密度の低い種
 (6) 広い生息域が必要な種
 (7) 体が大きい種
 (8) 分散能力を持たない種
 (9) 季節的移動
 (10) 遺伝的変異が少ない種
 (11) 特異なニッチを必要とする種
 (12) 安定した環境で特異的に見出される種
 (13) 永続的または一時的に群れを形成する種
 (14) 人間の狩猟や採集の対象となっている種

PartW. 種の保全のためのカテゴリー

IUCN(国際自然保護連合)の旧カテゴリー
  1. 絶滅 Ex: Extinct
  2. 絶滅危惧 E: Endangered
  3. 危急 V: Vulnerable
  4. 希少 R: Rare

IUCNの新カテゴリー
絶滅  1. 絶滅 EX: Extinct
    2. 野生絶滅 EW: Extinct in the Wild
絶滅危惧 threatened
    1. 絶滅危惧TA類 CR: Critically Endangered
    2. 絶滅危惧TB類 EN: Endangered
    3. 絶滅危惧U類  VU: Vulnerable
低リスク LR: Lower Risk
    1. 保全対策依存 cd: Conservation dependence
    2. 準絶滅危惧   nt: Near threatened

                
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