§1. クジラ・イルカと捕鯨問題

PartT. クジラとイルカ
シロナガスクジラ
     恐竜3頭分を上回る史上最大級の生物。
 捕獲記録上の最大体長は33.22m、体重250t⇒ゾウ30頭に匹敵。
 寿命は90〜100年。
セミクジラ
    遊泳時速も遅く、深く潜らないので初期捕鯨の対象。
 日本でも古式捕鯨でさかんに獲られた。イカ・タコを好んで捕食。
イワシクジラ
    北ヨーロッパ、アルゼンチン南方の寒海に多いが、小笠原以北の日本近海にも
 回遊して来る。環境に敏感で逃げ足が最も速い。
ザトウクジラ
     頭部に瘤。幅1m、長さ3〜4mもの胸鰭を持つ。
 ずんぐりした体型に似合わず敏捷でしばしば全身を現し
 海上に高々とジャンプする。
ミンククジラ(コイワシクジラとも呼ばれる。)
    体長は最大でも10mとヒゲクジラの中で最も小さい。
 肉にクジラ臭が弱いので日本、ノルウェーで食用にされてきた。
マッコウクジラ
    体長の3分の1を占める箱形の巨大な頭蓋内には大量の脳油がストック
 されている。
    好物のダイオウイカを追って1000mを越す深海へ潜水。
 腸に生成する臘(ろう)状の竜涎香(りゅうぜんこう)は高価な香料となる。
シャチ
 クジラ、アザラシ、ペンギンを捕食。世界中に広く分布
キタトックリクジラ
   人間の「赤ん坊」に似た顔をしているアカボウクジラ科の一属。
 北太平洋に分布、日本近海へ回遊する。
ゴンドウクジラ
 近海に群遊するポピュラーなクジラ。和歌山、伊豆地方で捕獲される。
シロイルカ
 ベルーガともいい、北極海に生息。
バンドウイルカ
 マイルカ科の大型種で高等な芸を 演ずる水族館のスター。
イッカク
 北氷洋に分布。
 上あごの一対の歯の左側の歯が、特にオスは直径10cm、3mも突き出す
 ことがある。
マイルカ
   イルカの中で最も早く泳ぐ。
 世界中の温帯にすみ、船と競泳したりする遊び好き。

PartU. 捕鯨と反捕鯨
1972年 ストックホルム国連人間環境会議
  商業捕鯨禁止案浮上
             ↑
  戦争こそ最大の環境破壊〜ベトナム戦争、仏の核実験
  貧困こそ最大の環境破壊→1992年(「地球サミット」)に継承
  差別こそ最大の環境破壊〜先住民、南アの人種差別政策(当時)

●日本政府代表団
 1.公害問題中心
   水俣・PCB患者のみに注意を払っていた。
 2.クジラ祭り→ヒッピー集団と高をくくり、
  その後のNGO・市民運動の盛り上がりを予想できなかった。

商業捕鯨禁止を求める米国案
 ⇒「賛成51vs 反対3(日本・南ア・ポルトガル)」 

国際捕鯨委員会(IWC)の失敗
1945 11月 連合国総司令部(GHQ) は「食糧不足を緩和するため」
  国際捕鯨条約を守ることを条件に日本の捕鯨再開を許可。
1946 「国際捕鯨取締条約」発効
 ※業界の援助で東京に「鯨類研究所」  設立
1948 「国際捕鯨委員会」設立
  (International Whaling Committee)
  ※水産庁発足、日本捕鯨協会も誕生。
1951 日本がIWC加盟


戦争と捕鯨産業
 戦時中に日本の捕鯨母船が特設空母に改装されたり、
キャッチャーボートが軍用艦艇に用いられた。敗戦後は
逆に軍艦が捕鯨船へ転用された。
 魚雷艇から魚雷を発射するスロープが捕らえられた
クジラを取り込むのに都合が良かった。

       牛肉、魚肉の値下げ
            +
        ヨーロッパのマーガリン
          鯨油⇒植物油脂へ

1952 北洋漁業10年ぶりに再開
 しかしこのときすでに南氷洋のクジラ資源にかげり
 前年、目標の40%しか捕獲できなかった。
 (北洋捕鯨は南氷洋捕鯨のコストの5分の1ですむ)
1952 IWCで「北洋シロナガスクジラの5年間全面禁漁」
     &「北半球のザトウクジラの禁獲」決定
  しかし、日本は「試験操業」という名目で北洋捕鯨継続。

CPUE (Catch per unit of effort)
 =「漁獲努力量の単位当たり漁獲量」

当時すでにクジラが捕らえにくくなったことを認めていたが、
  「クジラが逃げるのが上手になったから」?
         ↑
  アメリカ生まれのNGO「地球の友」
  バンクーバー生まれのNGO「グリーンピース」

「最大持続生産量」 MSY: Maximum Sustainable Yield
(最大維持可能漁獲量とも)

   生物資源を減らさずに得られる最大限の収穫。
 個体数×増加率が最大となるもっとも効率的なポイントで、
通常は環境収容力の半分の個体数とされる。
 この個体数レベルを保ち、増加分だけを収穫すれば、
資源の再生能力を超えない限度で最大限の収穫を続けることができる。

 ある生物が生活資源の豊富な新しい生息地に入り込んだ時には、
幾何級数的な増加がみられるが、その増加率は初期が最も高く、
個体数(資源量)が増加するに従って低下し、環境収容力に達すると、
個体数は最大となるが増加率は0となる、という理論に基づく。
 主にクジラを含む水産資源を対象に商業目的の概念として発展し、
漁業や狩猟などの天然資源だけではなく林業・農業生産にも活用される。





                
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