ラムサール条約第13回締約国会議(COP13)
(2018年10月、ドバイ、アラブ首長国連邦)参加報告
2018年10月20日(土)
午前0時30分、羽田を出発。気になっていたのが、イスラム国の飛行機(エミレーツ航空)ということで機内食の際にお酒が出るかどうか。普通にオプションに含まれていたので、ワインを飲んでぐっすり。寝る前に腕時計の時間を現地時間(ドバイは日本よりマイナス5時間)に合わせていたので、起きたら頭は現地時間仕様に(5時間くらいならもともと問題はなさそうだが)。現地時間午前8時半ドバイ国際空港到着。
入管を通過し、スーツケースを受け取り、さて案内はと思って、あたりを見回してもラムサールのロゴとかは見当たらない。ホテルシャトルバスの案内があったので、矢印に従って空港を出て、駐車場を横切り進んでいくと案内が途切れた。道路のど真ん中で荷物を引きずり立ち往生。いったん少し戻って同じ行程を繰り返したが、やっぱり結果は同じ。あきらめて、いったん空港に戻る。タクシーを利用するのが一番簡単だろうが、いきなりはしゃくなので、メトロ(地下鉄)を利用することに。確か日本のSuicaみたいなカードがあったはずだが、最初は一日のみ有効な片道切符を2ゾーン分買ってメトロに乗ってみた。
前回のドバイ泊の残りを持ってきたため、まずはこの範囲で動いてみることにした。
地下鉄を降り、地上に出ると当たり前だがかなり暑い。GPSでホテルの場所を調べ、歩くものの汗だくに。荷物がなければ10分くらいかもだが、15分ほどかかってチェックイン。シャワーを浴び、完全夏仕様に着替え、Wi-Fiにつなぎ、近所の散歩へ。まずメトロ駅とホテルの間にある巨大なショッピングモールへ。両替をして、歩き回る。でかい。どうやったらメトロの駅までたどり着けるのかさっぱりわからない。
ホテルへ戻ったらWi-Fiがつながらない。いろいろ試したが諦めた。ホテルの受付へ行って、尋ねたら回線の不調でフリーWi-Fiを使うように勧められる。慣れない国でフリーWi-Fiは心配だ。ホテルでラムサール条約COP会場を尋ねてみたが、知らないと言われた。えええ〜?確か、条約ウェブサイトのCOP関連頁、宿泊案内に記載されていたホテルのはずなんだが。調べてもらったらフェスティバル・シティ(Festival City)のインターコンチネンタルホテルが会場らしいとのこと。他の参加者は誰も宿泊していないのだろうか。
10月21日(日)
まあ最初はしょうがないとタクシーでフェスティバルシティのインターコンチネンタルホテルへ。なかなかいい会場じゃないかなと思うものの、ラムサールのラの字も飾られていない。それらしい方へ向かって歩いてみるが、ぐるぐる回ったり、隣のビルに足を伸ばしてみても、ラの字も発見できない。冷房は効いているものの別の意味でだんだん汗をかきながら、歩くのも疲れてきたので、コンシェルジェに聞くと会場はもうちょっと先にある、とのこと。シャトルバスを尋ねたらついさっき出たばかりとのこと。次はいつ?と聞いても知らない、とのこと。ほんとにほんとにしょうがないので、しゃくだがタクシーを利用することにする。まあ、タクシーはどうも日本よりはるかに安いようなので(初乗り170円くらいか)、タクシー乗り場へ。最初のクルマの横に立っていたドライバーの黒人お兄さんにお願いしてみると、知らない、とのこと。現在地と会場を示すスマホ画面を見せてみると自分のスマホを出して(どうやらアラビア語の画面でチェックしているようだ)、ああそれならここから歩いて500mじゃないか、タクシーに乗ることはないよ...と言われる。なんだそうなんだと思って気を取り直し歩いて会場に行くことに。
カンカン照りの中、10分ほど歩いてもそれらしい建物は見えてこない。もう一度スマホを取り出してみても、半分も来ていない。まあ方向は間違ってないなと汗を拭いて再び歩き出そうとすると、西アフリカっぽい民族衣装を着た黒人女性が「すいませんが、ラムサール参加の方?」と英語で聞いてきた。そうだと答えると「会場はどこにあるの?」。スマホ画面を見せて、次の十字路まで歩いてそこを左に曲がってしばらく行くと、右側に見えるはずだと説明する。一緒に歩きながら話をし出すとカメルーンからの参加者とのこと。とにかく暑いので、あまり会話は進まない。
歩行者用道路のはずだが、ところどころ砂がたまっていて、砂丘を歩くような苦行となってしまう箇所も。ようやくCOP13の旗が見つかり、少しほっとしながら最後の力を振り絞って(少しオーバーか)、何とか会場にたどり着く。なんだか昨日のホテルまでの歩きよりきつかったなあ。
会場で事前登録をしてないが参加できるかというとオブザーバーではなく、ビジターならOKとのこと。登録用紙に必要事項を書き込み名札用写真の撮影をその場でちゃっとすると、顔写真と名前入りのフォルダーを首から下げられるようになる。しばらく会場の中を歩いてみて気づいたが、会議書類の類いはいっさいもらえなかった。あとでわかったが、
他のビジターはもらっていたようだ。まあなくてもそれほど困りはしないか。
■常設委員会
COP副議長、次回の常設委員会メンバーおよび財政小委員会メンバー、そしてCOP参加政府代表団の資格審査委(Credential Cttee)の候補者を選出する必要がある。
注:COP議長は開催国政府から推薦されることとなる。
政府代表団として、各国政府から全権委任する証明書類を持ってきているかのチェックを行うのが、Credential Cttee。大統領、首相、外務大臣、議会等各国の制度によって書類の内容は異なる。書類がなければ発言はできても、投票はできないこととなる。
地域イニシアチブに関して環境法専門家による、法的資格/効力に関する報告があった。コア予算から支援されているMedWet(地中海湿地イニシアチブ)に関して発言があった。
2017年の国連Ocean
Conferenceには条約事務局としての参加が認められていたが、本年の国連総会(General
Assembly)では、IUCNの一部としての参加の仕方しか認められなかった。この状態に関して、条約事務局長から強い懸念が表明された。
スイス政府代表から、条約事務局長だけのフラストレーションではなく、条約加盟国すべてが、条約について言及していかなければ事態が改善されないとの発言があった。
フィンランド政府から、この状態を改善しようとすると、条文(IUCNと事務局の関係)を改正しなければいけなくなるのかとの疑問が呈された。
この後、常設委員会メンバーの政府代表から、IUCNを離れて独立すべきか、国連参加に入るべきかの意見が(改めて)出されたが、スイス政府代表からはこの件について過去のCOPで決着済みであり、IUCNを離れて独立するのは費用がかかりすぎるとの指摘があった。
注:寄託機関であるUNESCOオプションという言及もあったが、UNESCO傘下の独立機関を意味するのか、どのような議論がされているのか不明。
モーリタニア政府代表からは、この場での討論ではなく、条約事務局、国連、いくつかの締約国代表等による議論の場が必要ではないかとの指摘がされた。
湿地都市認定の決議案に関して、韓国政府代表から、湿地都市の首長がCOPに参加することとし、条約事務局から直接認定証を授与することが好ましいので、明文化したいとの提案があった。事務局長は確約することは難しいので、明文化は避けたいとの発言があった。また、今回湿地保全賞に関して、メキシコの組織が候補となったが、地元で法的問題を起こしていたため見合わせざるを得なかった(そういった問題も起こりうる)との指摘があった。
■午後からは地域会合。
アジア地域会合では、次期常設委員会の参加国を議論した。北東アジアからは日本が手を挙げ、中央〜西アジアとしてオマーン(?)と決定しやすいが、東南〜南アジアからはフィリピン、インド、バングラデシュ、ブータンが参加の意を表明。候補国間で話し合いを持ってもらい、アジア担当上級アドバイザーも参加して、結果を報告してもらうこととなった。
■夕方から「地域イニシアチブ」に関するサイドイベント
アジア地域では韓国にある「ラムサール地域センター東アジア」、東アジア・オーストラリア地域フライウェイイニシアチブ、ベンガル・ビルマイニシアチブについての集会
1)韓国ソウ氏による「ラムサール地域センター東アジア(RRC-EA)」の活動紹介。
スンチョン市でこれまで3コースの研修を実施:黄海(Yellow Sea)、メコン川下流(Lower Mekon)、ベンガル地域。
また「世界湿地の日(WWD)」ではプロ野球チームの韓国タイガースが協力してくれている。
普及啓発資料をこれまでアジアの10カ国語に翻訳済み(日本語はない)。ラムサール条約のガイドラインも10カ国語で翻訳してきた。年間7つのプロジェクトを実施。2019年には世界湿地研究者会議(Society of Wetland
Scientists: SWS)のアジア地域部会(Asia Chapter)との共催でワークショップを実施予定。WIJ、ラムサールセンターと協力して2020年にアジア湿地シンポジウムを実施予定。
2)ヤン氏(Lew
Young)による「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・イニシアチブ」の活動紹介。
2018年12月に中国で運営委員会(Governing Mtg)を実施予定。ネットワークサイト同士をつなぐための姉妹学校提携、姉妹サイト提携も進めている。
3)バンコクに本部を持つIUCNアジアからラファエル氏の報告。
ベンガル・ビルマ
最後に今回のCOPでも地域イニシアチブに関する決議案が提案されていることが報告され、アジア地域政府代表団の協力が要請された。
COP会場では本会議用のパスワード付きWi-Fiと、”Ramsar”というフリーWifiが利用可能だ。自分のホテルの近くの、少し大きなホテルであるCopthorne
Hotelからはシャトルバスが頻繁に出るということなので、モニターに出ている時刻表を撮影する。
会場を出るとミニバスやらステーションワゴン車やらいろいろ来ているが、前に回ってみても特に目的地表示があるわけではなく、係の人(らしいと思われる人)に尋ねてみると大部分はメインホテルのホリディインやらインターコンチネンタルホテルへ行くものらしい。ようやくコプソーンホテル行きを見つけて乗車。ようやく帰路につく。意外と早く10分ほどで到着。コプソーンから歩いて表通りに出るとメトロの駅を見つけた。エスカレーターを降りるとどうやら反対側へ回って宿泊ホテルの近くにあるショッピングセンターへ入れるようだ。
ショッピングセンターに入ると、大きすぎるので、昨日と逆に歩くとどこがどこやら。
ようやく正しい出口にたどり着き、ちょっと引き返してスーパーマーケットで買い物を。
ホテルについてWifiの状況を尋ねるとまだ回復していないとのこと。やれやれ
10月22日(月)
ショッピングモールで道に迷うといけないので、少し早めに出て、コプソーンホテルに到着する。時間表によると、8時50分、9時10分、9時半、そして午前中の会場行きは10時に出るとのこと。8時50分をちょっと過ぎたので、9時10分のに乗ろうとホテルの中で椅子を見つけて冷房にあたりながら待つことにする。この時間でも外はすでに暑い。
9時を少し回ったところで、ホテルの正面に出て待っていると9時10分を過ぎてもバスらしいのは来ない。ホテルに戻ってコンシェルジェ(?)に尋ねると、ちょっと前にバスが来て、もう出てしまったとのこと。しまった、すれ違ったか。まあ、次のに乗ればいいだろうと9時半まで待ったがバスは来ない。もう一度ホテルの中に入って尋ねたら、「心配ない、バスを呼ぶから部屋番号は?」と聞かれる。「申し訳ないが、このホテルの宿泊客ではない。でもこのホテルからバスが出ると聞いたので、来たんだ」というと、どうやらバスの会社に電話をかけてくれたようだ。バスが来た。乗ってみると客は自分だけ。なんとなく申し訳ない気分で居心地悪くしていると、助手席の男性に電話がかかってきた。アラビア語を話しているようで、意味はわからない。と思っているうちに、コプソーンホテルに戻って3人乗り込んできた。ええ?電話をかけて呼ぶシステムなのか?よくわからないが、目的地はアリーナであることは間違いないようなので、なんだかわからないままに妙な汗をかきながら会場へ。
■9時から地域会合
というわけで参加したのは10時過ぎから。
決議案(Draft Resolutions:DR)の検討
会議文書の中でも、COPの肝となる決議案は文書番号でいうと今回は18番目の会議文書となり、文書番号としては「18.1」 から「18.26」まで26組ある。決議案自体はそれほど長いものはないが、種々の付属文書が添付されているものが多い。決議案は基本的に各締約国(単独あるいは複数で)もしくは条約事務局、常設委員会、STRP(科学技術検討パネル)から提案されることになる。本会議での全体議論の前に地域ごとに議論をしておき、本会議ではできるだけ速やかに議論を進めたいという意向だ。いくつかの決議案が説明された。
・アラビア語を今後条約公用語に
・予算&財政
・戦略計画
・地域イニシアチブ
・条約湿地の現状
・アドバイザリー・ミッション(Ramsar Advisary
Mission)
・STRP
・湿地目録の改訂
・温室効果ガス、気候変動と湿地(UAE提案)
午後2時から再びアジア地域会合
ウミガメの産卵場所に注目した決議案などが紹介された。
□5時から歓迎レセプション
会議場であるドバイ・フェスティバルシティ・アリーナの外にて実施、お酒はでないが、クリークの反対側の市街地、特にブルジハリファをオレンジ色に染める夕陽を眺めながらの会食となる。
□7時から開会式
青年演奏隊による国歌演奏(全員起立)
挨拶が10人以上、UAE気候変動環境省大臣、これまでの常設委員会議長を務めたウルグアイ政府住居国土計画環境副大臣、ドバイ市長、アブダビ環境庁代表、国連海洋特別大使、IUCN「自然に基づいた解決策」局長、国連環境計画法律局長、国際湿地保全連合CEO、ラムサール条約事務局長。いったんアラブ首長国連邦の自然紹介ビデオ上映後、さらに挨拶。
ラムサール条約湿地保全賞(WCAwards)授与式。個人への賞は中国の湿地研究者へ。スポンサーであるダノングループからの挨拶。
コプソーンホテル行きというと、いくつかバスが出発した後、小さなワゴン車が到着。どうやらコプソーンほどの大きいホテルでもCOP参加者はそう多くないようだ。
宿泊している地域はデイラ地区という名称らしく、モールの名前はデイラ・シティセンター。レストランも多いが、なんだかハンバーガーレストラン、ピザ屋、ステーキショップとかありきたりのレストランばっか。とりあえず夕食には困らないが。
10月23日(火)
ホテルの枕の下に小銭を置いといても持っては行かれない。チップの習慣はないと思って、小銭を気にしないことにした。
コプソーンホテルに行って、バスが来たら教えてねとホテルスタッフに念を押して、冷房の効いたホテル内で待つ。8時50分、9時10分、9時半になってもバスは来ないが、だんだん待っているらしい首から名札を下げた人々が増えてくる。
9時40分、バスが来た。乗ってから会議は何時から?と周りに聞く人多数。本会議は10時からだと知っている人は口々に言う。まあ、まだ間に合う時間ではある。
議長の選出(開催国から)、副議長はフィンランド代表、ウガンダ代表(Paul
Mafabi氏)
作業文書を承認
会議運営ルール(Rules of Proecedure)
現状ではこれまで利用してきた「会議運営ルール」を基に会議を開始する。
ただし、日本、米国、スウェーデンから部分的改訂案が出されており、それを含めて次回以降の運営ルールについて改訂版とするかこれまで通りにするかが決定される。
これに対して、モーリタニア(政府代表)から事前に文書を提出してほしいとの要請があったが、米国からは今朝の会議運営委員会(Conference
Bureau)で決めたばかりのことなので大目に見てとの要請があった。
本会議初日であり、会議で初めて発言する国はその度にまず開催国への感謝、時には準備を頑張った条約事務局への感謝の言葉を述べる(のが延々と続く)ことになる。
各地域会合からの提案に基づき、資格認定委員会(Credential
Committee)のメンバー(国代表)案が出され、承認された。
文書7:オブザーバーの承認
今回COPに初めて参加することとなる各国NGO等で、資格認定に必要な書類を提出できていないものはオブザーバーとしては承認されないこととなった。ただしビジター登録は可能。会議への積極的な発言は許可されないこととなる。
常設委員会からの報告
常設委員会議長であるウルグアイ政府代表からこれまで4回に及ぶ常設委員会で100項目以上の議題に関して議論がなされてきたことが報告された。
ここでいったん、会議を中断し、各国内のNGOのネットワークである「世界湿地ネットワーク」からの報告ステートメントが発表された。
条約事務局長からの報告
湿地政策に関しては増加傾向
条文3.2に基づく条約湿地の生態学的特徴の変化に関する報告は数としては横ばい状況
公表されている各国の国別報告書の内容に関して、アルゼンチン政府代表から英国のフォークランド諸島等に関する言及に反対意見が述べられた。英国もこれに対応。チリ、ブラジル、ペルー、キューバはアルゼンチン支持を表明。ウクライナ政府代表からはロシアによるクリミア地区の占拠に関して反対意見、ロシアもこれに対応。クリミアには条約湿地が6ヶ所あるもよう。ウクライナ政府からはアドバイザリー・ミッションが要請された。
ブルキナファソからはアフリカ全体で48の国別報告書が提出されていることが指摘された。ウガンダはノルウェーの支援によって2回のアドバイザリー・ミッションが実施されたことに感謝。セネガルからは条約事務局がスイス国内において法的資格をもっていないことに懸念が表明された。コロンビアは国連の2030アジェンダに言及。
STRP議長ロイ・ガードナー氏からの報告
今回発表された「世界湿地概況(Global Wetland
Outlook: GWO)」がSTRPの活動の集大成として強調された。
条約湿地に関する会議文書12 事務局ヨーロッパ担当上級アドバイザーからの報告
現在の条約事務局職員で、唯一知っているといえるのが、ヨーロッパ担当官のトビアス・サラス氏だ。アジア担当官は現在六代目となるが、ヨーロッパ担当官は前のティム・ジョーンズ氏からまだ二代目と二人とも事務局が長い。ティムは僕がアジア担当官していた時代にCOP5(釧路会議)以降にヨーロッパ担当官として着任した人で一緒に旅行したことも何回かあり、現在でもメイルのやりとりをすることが度々ある。ラムサールCOPでは、事務局を離れてからも記録報告係(Rapporteur)として参加してきている。今回も他の二人とともに参加している。
トビアス氏は前回のCOPから2018年6月までの世界の条約湿地の現状について報告を行った。
・条約湿地の数は60%増加
・約2700万ha、NZの面積に匹敵
・transboundary Sites ex. Wadden
Sea, Congo Basin
・OnlineによるRISのアップデートが可能になり、全条約湿地の30%でアップデートがなされている
・生態学的特徴の変化 186ヶ所の条約湿地で
・モントルーレコード(MR)は国際的な注視を促すための機構
・RAM ボリビア、イラン、イラク、イタリア、ノルウェー、アラブ首長国連邦、タンザニア等に派遣された。
セネガル:RAMへ言及
49MR→48
韓国:RISに言及
トビアス氏:さらに情報があれば各地域の上級アドバイザーを通じて提供してほしい
[文書承認]
議題13:財政報告書
スイスから説明があり、南アがこれまで検討を重ねてきた財政グループに言及、ドミニカやモンゴルから意見が述べられた。
(昼)サイドイベント:日本政府主催による新条約湿地の認証授与
忙しい時間の合間を縫ってSGが参加してくれた。新規登録は2ヶ所、東京都の葛西海浜公園と宮城県志津川湾。認定証授与式後、事務局長は去り、2つの新規条約湿地についてのプレゼンが行われた。
(夕方)サイドイベント:
(2)釧路湿地の持続的保存:北海道開発局主催のサイドイベント。国土交通省が釧路湿原で実施している自然再生事業と、それに関する研究報告が北海道大学の2名の新進気鋭の研究者からなされた。
夕方のサイドイベントは第一部がいくつかと第二部まであるが、今回第二部のサイドイベントに参加して会議場の表に出ると、もうコプソーンホテル行きのバスは出ていないと言われた。なんじゃそれは!?困ってしまったが、多くの参加者が泊まるホリディインまではバスが出ているとのこと。それに乗って、ホリディインからタクシーでホテルに戻ることにする。「アル=ジャワハラ・ガーデンホテル」と言ってもタクシー運転手は怪訝な顔をするだけ。発音が正しくないのか?たまたま持ち歩いていたホテル提供のミネラルウォーター入りペットボトルを見せると、ラベルにはホテルの名前が出ているので、すぐにわかってくれた。これからは毎日持ち歩こう。タクシーは初乗りが5.5D(ダルハム)で160円ちょっとと安い。ホテルまでは約20Dで600〜700円くらいだ。これくらいなら何とかなるか。
10月24日(水)
自分の泊まっているホテルからコプソーンホテルまでの一番楽なたどり着き方をマスターした。朝ホテルから外に出たらできるだけ近場の入り口から近くの巨大ショッピングモールに入り、2階に昇ってから、一番東側まで歩いて行き、そこから1階に降りて外に出ると、地下鉄乗り場の前に出る。ショッピングモールの中はお店はまだ大部分開店していないが、通行可能で冷房が効いている。朝食用スナックを提供する小さなお店が数軒やっている程度だ。ショッピングモールに入って1階からまっすぐ東に向かっても、途中で大きな駐車場を横切らなければならず、朝でも暑いし空気も悪い。多少面倒でも、2階に昇ってまたおりることにした方が快適そうだ。ショッピングモールを出て地下鉄メトロの駅まで地下におり、道路の反対側の出入り口から昇るとコプソーンホテルまであとちょっと。道路を渡り、駐車場を横切り、店舗の前を通って、また道路を横切るとコプソーンホテルだ。ホテルのスタッフが顔を覚えてくれたようなので、中で待っていてシャトルバスが到着すると呼びかけてくれる。流れは出来たが、結局結構待つ。名札を首から提げたCOP参加者らしい人もいた。
引き続き本会議。SG:たくさんのDRがSTRPにリクエストをしているため、調整グループが必要
オマーン:各地域から何人まで参加が可能なのか。
決議案5:「財政予算事項」
決議案9:「世界湿地の日(WWD)」[UAE提案]
オマーン: UAEを支持、WWDは国連によって正式に認められるべきだ。WWDのマテリアルはアラビア語でも提供されるべきだ
セネガル:STRP
グアテマラ:我が国の場合、国土の半分は湿地と言ってもかごんではない。
[採択]
採択した後に、このラムサール決議をどうやって国連に提出するかも議論された。SGが最終決議を国連に、という意見が表明されたが、
米:国連総会の手続きに熟知しているわけではないが、国連に提出するのはCPで今回の場合、その栄誉はUAEが担うべきだろう。
[11:22採択]
決議案18.1,
2, & 3 に関しては、COP直前の常設委員会で議論されたものの最終的な結論には至らなかったと関連文書には注意書きがあった。微妙に内容や方向性が異なるものの、これら3本の決議案はまとめると条約関連機関のガバナンスをすっきりさせてより効果的なものにしようという試みとなる。
決議案01:「条約の効果を高める」(ための案)
決議案02:「条約の構造及び過程の効率を改善する」(ための案)
決議案03:「常設委員会の責任、役割と構成及び条約の下での地域分類」
- 決議案01を米国代表が、次いで決議案02についてスイス代表が説明を行った。条約事務局、そしてIUCNが本部を持つスイスは、これまでずっと常設委員会の委員の座を担ってきており、同じ政府職員が長年、条約に関わってきた。彼女によれば、ガバナンスを効率的にし、再び「技術的な条約(Technical Convention)」にしたいとのこと。COP直前の第54回常設委員会では、個別の湿地についての議論はひとつもなかったことを指摘した。
現在の常設委員会は参加者が120名を超え、議論も容易ではない。いくつかの小委員会が構成されているが、いくつかは目的や成果が明確ではない、とのことだ。
オマーン:最新版がウェブにない。議論を中断すべきだ。
UK:コンタクト・グループを構成したい。
ドミニカ:重要な課題なので次のCOPで決定を。
米:例えれば症状を明らかにしないまま、医者がダイエットを勧めているようなもの。効果が本当にあるのかわかりにくい。
「執行チーム(executive team)」は年間約170万スイスフランSFR(約2億円弱)を効果的に利用する手段を模索している。
豪:COPで重要なのは湿地の保全と管理を前に進めることだ。そのために建設的な議論をすべき。心を開いて議論に臨もう。
重要な議論でもあり、話し合いの場を設けて擦り合わせを行ってもらい、再度本会議で議論することに。
決議案4:「言語戦略」
- アラビア語だけではなく、国連で使用されている他の言語にも。ヨルダン:COP12でアラビア語の決議がすでにあることを指摘。
オーストリア(EU):外部からの財政支援必要だろう、条約事務局の業務負担も増えてしまう。ウェブサイトも直接アラビア語を提供するのではなく、リンクを張る形にすればよいのでは
エクアドル:スペイン語の対応も十分ではない現状では課題が残る。
オマーン:アラビア語を使用するCPは12カ国に及ぶ。
(昼)日本人参加者によるランチ ー クラウンプラザホテル
故辻井先生が日本国際湿地保全連合(WIJ)の会長だった時代、21世紀に入って最初のラムサールCOPであるCOP8(2002年、スペインのバレンシア)で実施し、以降継続されてきた。会議場ではスナック類はあるものの、ちゃんとした昼食はとれないため、久しぶりにまともな昼食を食べることが出来た。また、なぜかベルギービールのカフェだったため、我々のテーブル(福岡の弁護士さん、環境省職員、大森海苔のふるさと館職員)では、政府代表団である環境省のひとを除いて、ランチとともにビールを飲ませていただいた。申し訳ない。
決議案19:「平和、安全保障における湿地」[セネガル、中央アフリカ共和国提案]
ブラジル:ラムサール条約で扱える範疇を超えている
ウクライナ:支持する。理想的な方向性だと考える。
オーストラリア:STRPが扱えるのか?
米:範疇、目的、条約から期待される内容を超えてしまう。
日本:支持できない。
決議案6:「第四次戦略計画」
マラウィ(アフリカ地域を代表して): 支持する。SDGに言及。
中国:SDGの説明はラムサールの湿地定義とは異なる。擦り合わせが必要だ。
オーストリア(EUを代表して):CEPA作業部会に言及。
カナダ:他の環境条約、SDG、2020年以降の枠組みとの連携に言及。
米: CEPAに言及。
決議案14:「気候変動適応緩和と生物多様性を高めるための劣化泥炭地の再生」[STRP提案]
条約事務局:2030アジェンダに言及。
カナダ: 温室効果ガスを扱うためには、「パリ協定」で利用されている用語に揃えるべきだ。また2020年以降の生物多様性枠組みに言及。
これらを受けて、SGがコメント。
決議案25:「(北)極地方における湿地」[スウェーデン提案]
ノルウェー: 「南極条約」を除いた極地方の湿地に限定すべきだ。
英:北極および北極に近い寒帯地方に決議タイトルを改めてはどうか。
決議案8:「地域イニシアチブ」条約事務局のトビアス氏による説明。
トルコ:国境を越えた河川の議論はラムサール条約の外でやるべきだ。
NZ: 付属文書の具体的実施内容に関する段落
日本: すでに実施されているイニシアティブについて排除すべきではない。
モンゴル: 支持する。
米:事務局が改訂案をみんな受け取ったとしてどうやって最終案を練り上げるのか?
SG:コンタクト・グループは議長を選ぶ必要がある。
スイス:事務局が改訂案をすべて提供したとして、本会議ではどのような変更なのか明らかにされなかった提案がたくさんある。改訂内容がどのようなものかわからなくては対処のしようがないのでは?
ドミニカ:議長ひとりですべての提案をコントロールすることは困難だ
決議案10:「条約湿地の状況」
これまたトビアス氏による説明。
付属文書としてモントルーレコード(Montreux
Record:MR)湿地が掲載されている。
オーストリア:ラムサール湿地情報シート(Ramsar
Information Sheet:RIS)のアップデートに言及。
イラン:国内の条約湿地については地図を提供済みである。
ケニア:決議案を支持する。
米:新条約湿地2ヶ所を登録する。
ウガンダ:事務局から技術的な支援の必要がある。
南スーダン:状況改善のために事務局スタッフに来訪して技術的支援をしてほしい。
※日本湿地学会の島谷会長(九州大学)が昨日到着し、土曜日には帰国の途につくとのこと。「世界湿地科学者会議(Soceity
of Wetland Scientists:SWS)」の次期会長であり、長い間STRPに関わってきたオーストラリアのマックス・フィンレイソン博士を捕まえて、打ち合わせを伝えたい旨伝える。明日午後2時半に日本湿地学会とSWSで打ち合わせをすることになる。
サイドイベント:北朝鮮の湿地
本年条約締約国となり、加盟に当たっては2ヶ所の条約湿地を登録した。国内の候補地を記載した「湿地目録」がすでに存在し、このたび改訂版を発刊した。
10月25日(木)
コンタクト・グループの会合
決議案26:「ウミガメの産卵場所(繁殖地)、採餌場、育児場と条約湿地指定」[フランス、セネガル提案]
SG、セネガル、フランスからの説明の後
クウェート:支持を表明。
決議案11:「ラムサール助言調査団(RAM)」[ブルキナファソ提案]
決議案12:「条約の科学技術的側面2019-2021」[STRP提案]
STRPの運用規定改訂についてSTRP議長のロイ・ガードナー氏(米国)から説明がなされた。
ブラジル:「ブルーカーボン」の定義は合意がなされていないはずと指摘。
ブルキナファソ:SG
カナダ:STRPが今後検討しなければならないのはどのような内容となるのか。
チリ:我が国の科学者は積極的に参加できていない
ボリビア:他の条約について言及する場合は、それぞれの条約の用語に基づいた表現をするべきだ
ベルギー:付属文書4には、来年5月に新規STRPが会合を持つとあるが、生物多様性条約のIPBESもあり、会合を開くのは難しいのでは。
決議案11:ラムサール助言調査団(RAM)[ブルキナファソ提案]
トルコ:国境を越えた河川へ専門家を派遣すべきだ。
セネガル:RAMの重要性を指摘。。
マレーシア:RAMはコア予算からではなく、他の財源で。
ギニア:RAM要請をしたが、今のところ予備的な調査のみで終わっている。
日本:これまでRAMへ財政支援をしてきた。
オーストリア(COP参加20EU加盟国を代表して):EU諸国もRAMを支援している。
米:RAMは有効しかしコア予算ではなく実施されるべき。
タンザニア:最近の国内でのRAM訪問に言及。
コロンビア:MRから1ヶ所はずせることとなった。〇〇サンタマルタ条約湿地(Sistema Delta Estuarino del Rio Magdalena, Cienaga Grande de Santa
Marta)
ガボン:「国家湿地戦略」との兼ね合い。
ベニン:2ヶ所の条約湿地へRAMを要請
マリ:ニジェール流域での鉱山開発があり、
ウガンダ:油田開発
グアテマラ:MR、支援が必要だ
WWF:支援を強化する必要がある
SG(フランス語で):フランス開発庁(French Develpment Agency)/IUCNに対して検討を要請。
議題15.1 湿地都市認証
常設委員会議長のウルグアイからCOP前の議論では23の申請を受け、今回以下の自治体に認証を授与することとなったとの説明があった。中国×5、フランス×4、ハンガリー1,韓国4(スンチョン含む)、マダガスカル1,スリランカ×1、チュニジア×1
ハンガリー:COP12の決議によれば認定に係る委員会は独立した委員会になるべきではなかったか。
(昼)サイドイベント:潮間帯湿地
ボン条約(日本は加盟国ではない)のCOP12がフィリピンで開催され、その中の決議として国際的な沿岸フォーラムの設立が検討されていたことがフィリピンから説明された。それを受けて、今回の決議案提案につながったこととなる。
午後2:50から「世界湿地科学者会議(SWS)」との打ち合わせ
マックス・フィンレイソン氏(次期会長)、STRPのメンバーロブ・マッキンズ氏、現SWSもCOPに参加中とのことで急遽参加してもらうこととなった。ベス・ミドルトン女史
本会議では午後3時からの最初で、「湿地都市認証授与式」が実施された。
午後4時からは
決議案13:「条約湿地選定基準(クライテリア)を強化する地球規模気候変動対策に係る泥炭地を条約湿地として認定するためのガイダンス」[STRP提案]Global peatland
フィリピン:気候変動への適応に言及。
決議案23:「小さな湿地の保全と管理」[中国提案]
決議案14:「気候変動適応緩和と生物多様性を高めるための劣化泥炭地の再生」[STRP提案]
モンゴル:国内には11条約湿地があり、気候変動の影響を受けやすい。決議案を支持
カナダ:パリ協定に言及。
決議案15:ブルーカーボン「沿岸ブルーカーボン生態系の保全、再生、持続的管理」[オーストラリア提案]
本会議の議長を選出された副議長が実施している。
コスタリカ: ブルーカーボンを扱うための国内の取組について
韓国: 干潟、海草藻場、これらが気候変動緩和に重要
ベルギー:第一段落の定義について質問。河口域というのは、どこまでの範囲を扱うことになるのか。また、塩性湿原についても同様の疑問がある。第7段落には連携する生態系というのがあるが、これも定義や範疇の規定が難しいだろう。
決議案1についての議論の経過報告。
元条約事務局次長のニック・ディビッドソンがミャンマー政府代表に代わって発言してる。
決議案16:「湿地の文化的価値、先住民と地域コミュニティ、気候変動緩和適応」[ブルキナファソ、セネガル、チュニジア提案]
米国: いくつかの言葉遣いが強すぎるのではないか。
条約の文化ネットワークについて、目的をはっきりさせる必要がある。
サイドイベント: JICA
イランのアンザリ湿原はモントルーレコードに記載されており、JICAの協力による再生事業が15年に渡って継続されてきた。
10月26日(金)
朝、コプソーンホテル内でバスを待っていると、向かいの席に白人男性が座り、首から下げている名札の下方の色が藍色で、政府代表団とわかる。国名がよく見えないので、尋ねてみるとハンガリーからだと言う。農業省自然保護局の職員とのこと。ハンガリーへは二回ほど行ったことがあるよと言うと、「旅行で?」と尋ねてきた。「ラムサール条約の常設委員会とSTRPで」というと少し首をかしげて、「ハンガリーで常設委員会?」
昔、常設委員会の議長がハンガリー政府でといいかけると「ルイーズ・ラコス!?」と当時のハンガリー政府代表、常設委員会の議長の名前が彼から出てきた。
「彼女からは数年前にひどい交通事故に遭った後、お見舞いのメイルをもらったよ」と僕が言うと「彼女の話は職場でよく出るんだけど、引退してからの連絡先は知らないなあ」
「帰って探し出せたら教えられると思うよ」
「ありがとう、是非お願いしたい。ところでハンガリーで常設委員会やったの?全部グランでやるんじゃないのかい?」
「昔は議長国でやることもあったんだ。米国が議長の時はフロリダで常設委員会やったなあ。釧路会議の前は釧路でやったんだよ」
「同時通訳とかどうしてたの?」
「ああのんびりしてたから、基本は英語のみ。フランス語やスペイン語が必要なら、語学が堪能な事務局スタッフが隣に座って、説明するというパターンだったな。そういえば今持ってるPCに今月の講義の資料があるんだけど、たぶん当時の写真もあると思うんだ。ちょっと待っててくれるかい」(バスはなかなか来ない)
パワーポイントのワイズユース事例研究のところに小さくだけれどハンガリーの写真があった。
「これだ、これだ。」
「真ん中のはミハイユだ」
「ミハイユ・ヴェグ」
「そうそう」
「彼はCOP5釧路会議にも来ていて、確かTVのディスカッションにも参加してたんだ」
「TVに出たのかい?」
「うん。日本の番組だけどね」
「彼は僕の前任者なんだ」
「じゃあよく知っているんだ」
「うん、残念なことに今年初めに亡くなったけど...」
「ええっ?それは心からお悔やみを。でもそんなに高齢ではないはずだなあ」
「結構太ってるでしょ。心臓に負担がかかってたらしい」
「そう。これは常設委員会のあとだったかホートバギィ国立公園の写真だ。ちょっと待って、大きく引き延ばしてみるから」
「ああ、彼は国立公園の局長だ。彼は今でも局長やっているよ。こっちの女性はシルヴィアだ。彼女は今でもオートバージ国立公園で働いていて、現在は大きなプロジェクトのリーダーやってる。」
「正しい発音はオートバージなのか。う〜ん、確かこの写真1994年か95年だから、二人とも国立公園で25年近くかあ。そりゃまたすごいね。日本では数年で異動になるからなあ」
ようやくバスが来て、ここに来て初めて名刺交換、写真を添付してメイルを送ることにする。会場について座るとすぐにメイルを送った。彼は僕が送った写真を役所のボスにすぐに転送したそうだ。とっても喜んでくれた。世界はつながる。国際会議の醍醐味ではあります。
決議案18:「湿地生態系サービスの簡易評価(Rapid assessment)」[韓国提案]
日本: 生態系サービスを把握することの重要性に言及。
南ア(アフリカ諸国を代表して):提案を支持。
ボツワナ: 世界的なSDGsにおけるキャパシティ・ビルディングに言及。
エクアドル:簡易手法はいろいろあるが、柔軟に選択できることが大事で、それを決議するのには正しいタイミングである。
米: 評価は重要であるが、その手法に関しては締約国の中には困難であることを表明しているところもある。
中国: 比較的単純な評価手法に関する研修機会が他にもある。
ペルー: 評価の重要性を強調
オマーン: (COPごとに提出される)「国別報告書」を記載する助けとなるだろう。
ケニア: 我々が湿地を失い続けている理由の一つが、我々が湿地の価値を評価していないことにある。
決議案20:「ジェンダーと湿地」[コロンビア提案]
フィンランド(EUを代表して):支持
ウガンダ: 決議案の内容は持続可能性を確かなものにしてくれるだろう。
オブザーバーであるUNESCO代表からも発言があった。
決議案21:「湿地における農業」[チェコ提案]
「ミレニアム生態系評価」によれば、農業は湿地破壊の主要な原因(driving force)となっている。農業、干ばつと気候変動が大きな影響を与えていることを考えると人間活動として農業の問題は無視できない。これ以上の排水(干拓含む)を湿地で行わないようにすることが重要だ。FAOは本年第2回の世界農業会議を開催。
ペルー:
アルゼンチン: 湿地破壊の主要因は農業だけではない。特定の人間活動を非難するだけでは解決しない
ミャンマー (発言はニック・デイビッドソン) 段落25にあるSTRPへの要請に関して明確にすべき、すでにある課題と重複するのでは
ドミニカ: 観光開発も問題となっている。
ブラジル: 食料安全保障の観点
農業に関して否定的な態度だけでは
持続可能な農業に関してきちんと説明を入れるべき
ニュージーランド: 持続的な農業実践もある。大事なのは湿地の保全である。
カナダ: 段落21に異なる土地利用計画造り
フィリピン: "セーフ・ネット"に言及。
米: STRPと条約事務局に要請している内容は、彼らの扱える範囲を超えているのでは。
南ア: 伝統的な湿地の利用の扱い
コロンビア: 生態学的便益の認識が重要。
インド: 農業助成金の扱い等、実際に実施するには困難が伴うだろう。
CAR: 最終的には投票で決着をつけてはどうか。
FAO代表:支持。
IUCN代表:支持。湿地内そして湿地周辺部での農業の見直しが重要。
持続可能ではない農業実践がこれ以上広まるのを防ぐ必要がある。
事務局次長: 情報文書を配布する。
決議案22:「潮間帯湿地と生態学的に連携した生息地の保全とワイズユース」[フィリピン提案]
ノルウェー:「世界沿岸フォーラム」設立を支持。
韓国: 第18段落に関連して、黄海の重要性に言及。
日本:決議に関連して、今回東京湾の潮間帯湿地を登録したことを表明。今回はさらにもう一ヶ所も指定した。
米: ラムサール条約の使命の域を越えてしまうのでは
中国: フライウェイ沿いの沿岸湿地で埋立を止めることを決定した。
豪: 財政的な負担の可能性はないか
バードライフ・インターナショナル(条約の「国際機関パートナー」を代表して):ボン条約に言及。
午後3時から本会議午後の部。議長は副議長に任命されていたウガンダ代表ポール・マファビ氏。
決議案23:小さな湿地[中国提案]
オブザーバーのUNESCO代表から発言。
決議案24:「西アジアの湿地」[イラク提案]
トルコ: 生産的な内容ではない。
ヨルダン:スリランカで実施されたアジア地域会合の一ヶ月前からイラクと連絡をとろうとしているが、未だ返事がない。
レバノン:我が国ではさらに12ヶ所の条約湿地を登録予定だ。
オマーン: イラクの状況は深刻で、技術的支援が足りていない。この決議を基に支援強化が出来るのではないか。これこそ、ラムサール精神と呼べるものではないか。
決議案1,2,
(3) 1と2の決議案をひとつにまとめることとなったようだ。
これまでに2回会合を行って、議論を進めてきた。COP14では新しく効果的な作業部会を立ち上げることになる。
スイス:関連文書が仏語、スペイン語に翻訳されている最中だ。これまでの作業部会では目的が明文化されておらず、「業務内容(ToR)」の覚え書きもないままであった。
セネガル:
IUCNの規則に則って, 条約事務局は「覚え書き(MoU)」を交わしている。それらに従い、職員の募集、外部コンサルの利用を実施している。権限は最終的にはIUCN 事務総長にある。
これまで議論されてきた「管理チーム」はCOPで決定されてきたことの”守護者”の役割を果たしている。現在の状態ではその役割を終えるべきではないだろうか。
オーストリア:前回のCOP12では前事務局長の下で開催されており、今回のCOPは新しい事務局長の下での開催となっている。この段階で、条約の改革が進められることは重要だ。
スイス: 目的がはっきりされないままに、組織的構造を維持するのは
英: これまでの議論は混乱を招くものであっただろう。「管理チーム」の使命がはっきり理解されていないことが原因だったと考えられる。その事態を踏まえて、話し合いの結果、新たに「効果的運用に関する作業部会」を設立して仕切り直しをする案となった。
ウルグアイ: 議論の背景としては、条約の構造を維持し続けることにある。
ニュージーランド、日本は英国の妥協案提案内容の支持を表明
セネガル: 「管理チーム」のやり直しだ。
米: 決議案3に関してはこれらの議論とは切り離して考えることが出来る。
「資格審査委員会」の中間報告
ベニン:平和に関する決議案は「平和と社会のための湿地」というタイトルに変更される。
決議案5
blue carbon
ブラジル: 時間が足りなくてまだ結論に達していない。
米:STRPへの依頼内容の調整に時間が必要だ。討議をするために必要な資料がそろわなかった。一部は翻訳の必要がある。
豪: 決議案16(湿地の文化的価値、先住民と地域コミュニティ、気候変動緩和適応)について、英語以外でのコメントは訳さないといけないので、もしあらためて英語で出せたらお願いしたい。
10月27日(土)■公式エクスカーション(スタディツアー)
会場に8時半集合、環境省チームはこれからフラミンゴを見に行くそうだ。インドNGO代表と会う。彼もまたとっくに来てるけど今回のCOPでは初めて会った。サイドイベントですれ違いをしていたらしい。
「○○行きのツアーに申し込んだ方は、○○行きのバスが到着しましたので、お乗り下さい。」と案内の人がいうだけで、参加者のチェックというのは特にない。
「あの〜、リストの一番下にあったツアーに参加申込みしたのを覚えているんだけど、何てツアーだっけ?」と尋ねてみると、
「ちょうど今来たバスがそれだ。さあ、乗ってくれ。行き先はフジャイラだ。」と言われたので、バスに乗る。もうすでに満員に近く、一番最後の席に座る。周りの連中はアラブ系のようだ。聞いてみるとオマーンから参加しているとのこと。少々間抜けに見えるだろうが、行き先を聞いてみると「山に行くんだ」とのこと。
「アラビアの野生動物サンクチュアリ」という目的地があったので、名前を書き連ねたが、目的地は山か。
どうやらガイドが随行するというわけでもなく、昼食が出るかどうかもわからずタニナンの情報もないが、間違ってはいないようなので大丈夫でしょう。
延々とバスは行く。ドバイの街を抜けると周りは砂漠のような景観となる。時々らくだに乗ったキャラバン隊らしきものも道路脇を移動している。だんだん交通量も減っていき、山道となる。そして山を越えて、降りていきしばらく行くと「フジャイラ」の街に到着。そこも通り越して、さらに進む。
到着して知った最初の目的地の名前は「ワジ・ウラヤ国立公園(Wadi Wurayah National Park)」という国立公園の本部らしき建物。そこで簡単な解説と軽食が出された。公園面積は約220平方キロとかなり広い。釧路湿原国立公園より少し狭いくらい。公園到着までにはバスですっ飛ばしてほぼ3時間かかっている。フジャイラ(Fujairah)とはドバイとは別にある東海岸にある首長国のひとつで、国立公園の中心部分がラムサール湿地に指定されているとのこと。
山岳国立公園と言っても日本の山岳景観とはまったく異なり、山=岩である。峡谷の中にある滝とその下にできる池とが、地域全体の貴重な淡水源となっており、独特の生物相もあることからラムサール湿地に指定されている。
2009年にアラブ首長国連邦最初の山岳保護区として指定された。
2010年にラムサール指定
2013年に国立公園指定
2018年ユネスコの生物圏保存地域
とのことだ。
本部の小屋(?)で英語の解説を聞いて、軽食を食べた後、ここから先はバスではなく何台かある4WD車に分乗してラムサール湿地へ向かう。4名くらい参加者が乗り込むと4WD車は次々に出発する。全員乗れるのだろうとゆっくりしていると、最後の4WD車はすでに満員。あぶれたのはアジア系の男性と僕の2名だけ。先ほど解説をしていた地元スタッフが「ちょっとの間待っていてくれ」と言いスマホで電話をしているが、らちがあかないようだ。一緒に待つことになったアジア系の男性はスリランカ政府代表とのこと。COP前に条約のアジア地域会合がスリランカで開催されたが、参加できなかったのは残念だったとか涼みながら世間話をしてクルマを待つ。帰ってくるはずのお客さん2名を現地で待っていて、その2名を乗せてクルマが戻ってくるはずだ、と言われたが、先発した本隊が出てからかれこれ40分近くも待った。その間、本部の施設を見学したり空調のある部屋で寛いでみたりした。スリランカ政府の人はこの公園本部で料理を担当している人がスリランカ人であることを知り、長いこと話し込んでいた。本部ではベッド家トイレの完備した個室もあり、宿泊できるようになっているようだ。
ようやくクルマが来て、本隊と合流。暑い。砂漠ならぬ岩山の渓谷にあるちょっとした水場のような場所。ここが貴重な水源となっている。雨が降ると一帯は濁流となってしまうらしい。岩山には保水能力がなく、一気に流れることになってしまうようだ。
帰りは問題なく、皆と一緒にバスまで戻り、公園を離れた。
Al
Badiyahモスクが近くにあり、アラブ首長国連邦で一番古いモスクとのことだ。ここが二番目の目的地で20分ほど休憩。
三番目、最終目的地が「アラビア野生動物センター」であり、ツアーに申し込む際には野生生物サンクチュアリと書かれていたが、どうやらドバイ近くの動物園ということらしい。一部通路を暗くして夜行性動物の生態を見せたり、かなり広い外庭にサファリパーク的な放し飼い状態の野生動物を見ることが出来る。これらの動物の大部分は野生で観察することがかなり難しいと考えられ、まあ仕方ないだろう。
展示されている動物たちにはチーター、ヒョウ、アラビアオリックス、アラビアガゼル、カラカル、サンドキャット、ヤマアラシ等の大型〜中型哺乳類、Kori bustard, フラミンゴ等の鳥類、モニターレザード等の爬虫類とその種類はかなり多い。
入り口に入ると同じバスではない別グループの連中と逢った。どこへ行ってきた帰り何台と尋ねると同じ山岳国立公園だったらしい。
この日山岳国立公園を訪れるツアーは二組に分かれていて、最初のバスは午前6時半集合、二つ目のバスは午前8時半集合となっていた。早朝バードウオッチングをするわけではなさそうだったので、僕は二番目の組に申し込んでいた。
国立公園に着いてから、集合時間やバスの出発時間のアナウンスがなかったため、山道を自由に歩いて行ってなかなか戻ってこない二人がいたため、最初のバスはずっと待っていることになったそうだ。そう言えば似たようなバスがもう一台停車していたなあ。結局ドバイに戻ったのは、二つのバスともほぼ同じ時間となったということらしい。最初のバスに乗っている人たちは一足先にドバイに戻ることになっていたが、早起きしたかいがなかったとこぼしていた。そりゃそうだ。
10月28日(日)
朝9時過ぎにホテルを出ると、ホテルの正面に見たことのあるようなワゴン車が停車中、ひょっとしてと助手席の男性に行き先を尋ねると「アリーナ」とのこと。最後の最後となって、ようやくホテルから会議場に向かうワゴン車を確認できた。明日朝も同じ時間に来るとは到底思えないので、今まで通りコプソーンホテルへ出かけていった方が無難だろう。ともあれ、朝出かけには辺りを見回してみよう。
午前中と午後の本会議で残されていた決議案ごとの議論が再開された。それなりのペースで採択が進んでいく。
10月29日(月)最終日
最終日も午前中、そして午後からと本会議で議論がなされ、最終的に一連の決議が採択された。提案された決議1と決議2は合体され、ひとつの決議となり、決議案の一つ(平和と湿地に関するもの)が提案撤回となり、「開催国への感謝」を表明するための新規決議が加わって、最終的に25本の決議が採択された。前回のCOP12では、最後まで採択にもつれ込んだり、翻訳が間に合わなく、最終日の決議採択は英語版のみでの議論となったりして、参加国政府代表から不満が出されていたが、今回は予定時間より幾分早めに全議事終了となった。
SG:今朝の常設委員会で決定したが、次回COPの開催国のオファーがなかったので、次回常設委員会開催一ヶ月前まで募集することにした。
セネガル:外交的な承認が得られれば(外務省からOKがもらえれば)セネガルが次回COP開催を引き受けたい。
オマーン:それがだめだったら次回は(引き続き?)アジアでやることが可能だろう。
気候変動環境省大臣の到着を待って、閉会式。この後、新メンバーによる常設委員会が集合して、来年以降の打合せ。日本もアジア地域の正メンバーとなった。